LGBTIQA+への暴力を終わりにしよう。

 

多くのLGBTIQが、様々な相談機関や警察、司法機関、病院等で被害を被害とすら認められることなく、二次的加害にあってきた現実や、

社会の中で、身近な人にすら伝えることが出来ず、伝えた場合でも「重大な事」として扱ってもらえなかったり、

逆に自らのセクシュアリティについての問題とされてしまい適切なサポートを受けることが出来ない、ということを見てきました。

性暴力は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス、

クエスチョニング、Aセクシュアル(LGBTIQA)の人々を含む、すべての人口層、すべてのコミュニティに関係するものです。

2017年6月、刑法性犯罪が改正され、付帯決議では「男性や性的マイノリティへの不当な扱いをしない」ということが明記されました。

しかし、その明記された「不当な扱い」とは何なのでしょうか?どのような不当な扱いの、何を変えなければならないのでしょう?

刑法性犯罪は見直しの機会があります。その日に向け、私たちは社会に対してより明確に伝えていきたいことがあります。

 

更新情報:2023/04/10  支援組織向け:必要とされる支援のあり方 をリリースしました。

     2020/9/17 ニュースにて0923緊急院内集会開催のお知らせを掲載いたしました。

     2020/9/11  ニュースにて渋谷区からの苦情申し立てへの新たな回答を掲載しました

     2020/8/9  ニュースにて渋谷区からの苦情申し立てへの回答を掲載しました

     2020/7/20 ニュースて渋谷区への苦情申し立てについて掲載しました

     2020/6/22  ニュースに、刑法改正に関する要望書を掲載しました

     2018年2月14日 データベースページのLGBTIQと性暴力被害に関する資料に、

     「男性/LGBTIQAに対応する 性暴力被害者支援相談員養成講座」ウェブ版資料を追加しました。


このサイトで使うコトバの説明

LGBTIQAとは?

L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー、I=インターセックス、Q=クエスチョニング、A=Aセクシュアルの頭文字をとった、性的マイノリティ全般を指す言葉として使っています。

性暴力とは?

全ての合意の無い性的言動のことを言います。また、身体への性的な侵襲行為を伴う性暴力をこのサイト上では性暴力と別に「レイプ」とも表記します。

性犯罪とは?

法律で定められた、性に関する犯罪類型全般。このサイトでは主に、強制性交等罪や監護者性交等罪、強制わいせつ罪について記載することが多いです。



問題点は何??

※掲載されている画像はレイプクライシス・ネットワークが2013年に「性暴力サバイバーにとって生きやすい社会を」をテーマに全国公募したポスターの入選作品の一部です。

拡大して見ていただけます。この画像の権利は全てレイプクライシス・ネットワークにあり、無断での転載等は出来ません。ポスターは貸出しをしていますのでお問合せください。


110年ぶりの改正

性犯罪の規定は1907年から抜本的な改正はされてきませんでしたが、2017年6月に強姦罪が改正され、強制性交等罪となり様々な点が改正されました。

特にLGBTIQに関わりのある点としては、強姦罪では男性は加害者、女性は被害者と規定され、陰茎と膣のみを対象とする罪だったものが、男女共に被害/加害者になるものとされ、挿入の箇所としては膣だけでなく、口腔内と肛門も追加されました。

性差撤廃されず

多くのメディアで今回の改正は「性差を撤廃した」という報道がされましたが、現実には、膣や口腔内、そして肛門に対し合意無く「陰茎」を挿入するまたはされることに限定されています。要は、強制性交等罪の成立には陰茎の存在が絶対に必要になっているということです。また、その「陰茎」の定義も曖昧であり、例えば性器形成における性器を陰茎とするかどうかを形状等による個別判断とする等、性器は必ずしも画一性のあるものではないという点について、特にDSD(性分化疾患)に関してさえ審議がされていない状態となっています。

性器に拘り、その違いを法的に判断することは本当に必要なのでしょうか。 

性暴力の実体を

犯罪白書等では強姦罪の被害の届け出は実際に起きている犯罪の13%程度であるということが言われています。しかし、その件数を割り出す為の母数はあくまでもこれまで強姦被害者とされてきた女性のみを対象としており、これまでに性差を問わない「性暴力」の現状についての大規模調査はされていません。

各国の調査によって、LGBTIQの性暴力被害リスクは一般よりも高いということが明確になってきており、国内でも早急に調査及び支援システムの構築が必要です。

セクシュアリティを理由として被害の訴えを退けられたり、相談することさえ拒否されている人がいるということは、明確な事実です。

レイプは性交か?

性暴力とはこういうものだ、という定義をすることはとても難しいことです。

今回の改正では「陰茎」を介した被害/加害のみが強制性交等として規定されましたが、例えばバイブやペニスバンド、エピテーゼを用いた性暴力や、束になった割り箸や棒、ビール瓶等々での性暴力を、私たちは「レイプ」と言わないでいられるでしょうか?

レイプを事柄として判断する場合、「どういった性器か」ではなく、「どういった侵襲行為が行われたか」で判断すべきだと私たちは考えています。

強制性交等罪という名称が付きましたが、レイプという「暴力」を「性交」と呼ぶ社会を、私たちは変えたいのです。